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2022.11.04

杜子春


こんにちは、進学塾プログレスです。

皆さんは杜子春という物語を知っていますか?大正時代の芥川龍之介の小説です。
実は元々は中国の唐の時代(600年頃~900年頃)の作品で、後に芥川龍之介が改変したものが広まり、今に至ります。

非常に面白くてためになるお話なので、今日は「杜子春」を紹介していきたいと思います。



では、ざっくりとお話の流れを見ていきましょう。

あるところに杜子春という貧しい青年がいました。
そこに仙人があらわれ、たくさんのお金を授けてくれます。

たちまち杜子春は人気者となるのですが、お金はあっという間に使い果たしてしまいます。
すると自分の周りにいた人たちは居なくなってしまい、また冴えない貧乏生活に戻ります。

そしてまたもや仙人が表れ、お金をたくさんくれます。
またもや人気者になる杜子春。しかし、同じことの繰り返しです。

ただお金に群がるだけの人付き合いに嫌気が差した杜子春は、3度目の仙人のお金のプレゼントを断ります。そして「自分も仙人になりたい」とお願いするのです。

すると仙人は「ではこれから、ワシが良いというまで声をあげてはならん」と杜子春に難題を吹っかけ、そのまま去ってしまいます。

どこからともなく表れる鬼や魔物に酷い目にあわされる杜子春。しかし杜子春は声を出しません。
「声を出さねば命を取るぞ!」と脅されても声を出さなかった杜子春は、とうとう殺されて地獄に落ちてしまいます。

その地獄では更に酷い責め苦が続きます。
最後にはエンマ大王が自分の両親を連れてきて、杜子春の前でやたらめったに打ち付けます。
ついに耐えられなくなった杜子春は「お母さん!」と声を上げてしまうのです。

ふと気が付くと、杜子春の前には仙人が立っていました。
これまでの酷いことは、全て仙人の作り出した幻だったのです。
しかし仙人は言います。

「どうだ、仙人にはなれないだろう」と。しかし杜子春は言いました。
「私には仙人にはなれません。しかし、それはそれで良い気がします。」

そんな杜子春に、笑いながら仙人は言います。
「お前が声を出さねば、ワシがお前を殺していた」と。

それから、杜子春は貧しくも人間らしい、優しい心で正直に生きていくことで物語は終わります。



面白いのは、元々の中国のお話では「杜子春が声を出したこと」に仙人が怒るという反対の結末が待っているという点です。つまり、こちらは約束を守ることを重んじたお話です。

対して芥川龍之介の方の杜子春では「お母さん」を思いやる気持ち、つまり愛がテーマになっています。


いかがだったでしょうか。
ちなみに、杜子春はその時代における児童に向けた『童話』です(レベルが高い…!)。

もし興味があれば、実際に小説を読んでみることをお勧めします。
それでは!



【追記】画像は「人間椅子」というロックバンドの楽曲「杜子春」です。非常にヘヴィですが、カッコ良いのでこちらも併せて聴いてみてください。
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